通信販売において顧客管理は必須。
その中でも顧客売上データ分析はなくてはならない存在。今後アプローチしていく判断材料にもなるデータ分析。
担当になった方は、右も左もわからない方もいるかもしれない。
今この会社の売上がどのような推移をしているのか?顧客の分布はどうなっているのか?売上高はわかるけど顧客の特性まではわからないという方も多いのではないだろうか。
通販会社においてデータ分析を主に担当している筆者が、基本的なデータ分析手法と顧客特性の確認方法を紹介します。
Contents
基本知識 指標
通信販売においてデータ分析は、顧客への適切なアプローチをしていく上で重要な材料になります。
このアプローチをしていく中でデータ分析を活用したマーケティングにおいて必要な指標を紹介していきます。
LTV(Life Time Value)
LTVは、Life Time Value (ライフタイムバリュー)の頭文字を取ったもので、顧客生涯価値のことをいいます。
顧客1人が会社に対してどれだけ利益をもたらすかを表すものになり、顧客1人の生涯収益の総額を算出する指標になります。
計算方法としては、
LTV=購買単価×購買頻度×継続購入期間
で算出されます。
LTVを高める方法としては、顧客のロイヤリティを高めるほかはありません。どれだけ会社のファンになってもらえるかで価値は決まってきます。
一度ファンになった顧客は、特別な事情がない限り会社に対してその後も継続的な購買行動が見込めます。
LTVは、既存顧客の維持の重要性や、分析手法まで見える化してくれる指標になるでしょう。
CPO(Cost Per Order)
CPOは、Cost Per Order(コストパーオーダー)の頭文字を取ったもので、注文1件あたりにかかる広告費用のことをいいます。
1件の新規顧客を得るために、どれだけの費用がかかるのか見える化し、販売促進の費用対効果を知ることができます。
計算方法としては、
CPO=広告費用÷注文数
で算出されます。
CPOが安いほど、1件獲得するのに費用対効果が高く、CPOが高いほど費用対効果が低いといえます。
CPOを算出することで、限界投入広告費用の計算も行えますので、広告費用の最適化も行えます。
データ分析 基本
通信販売のデータ分析において基本的な手法を紹介します。
- 年度別顧客推移表
- RF表
それぞれ紹介していきます。
年度別顧客推移表
年度別顧客推移表とは、文字通り年度別に顧客がどのように推移しているかを確認する表になります。
例えば、2020年度の新規顧客が2021年度にはどれだけ購買してくれたかを表し、顧客の移行率や単価などを知ることができます。
基本となる算出データは、人数・金額・件数の3項目。
これをもとに、平均購入回数や顧客単価、受注単価などを割り出し推移を見ていく形となる。
こういったデータを出すことによって、会社の顧客形態を知ることができる。
2年目の動きと3年目の動き、またそれ以降の動きが年度別に大体同じような推移の仕方になってくるだろう。
そうすることで、今後の顧客の動向の予測もつきやすくなる。
1年後、2年後、3年後と過去のデータの推移をもとに予測し、これからの施策の判断材料にもなります。
基本的なデータシートとなるので、ざっくりと傾向を知りたい方にはおすすめです。
データ形式としては、こういうもの。
各項目にデータを当てはめてみて、確認してみましょう。
縦軸と横軸が交わるところが、新規客の数値。これを基準に右へ翌年の数値を入力していく。
縦軸は、該当年度の売上。横軸は顧客の推移となる。
RF表
RFM分析といわれる分析手法のうち、RとFだけを抜き出したシートになります。
Rは、Recency(最近の購入日)。Fは、Frequency(購入回数)を表し、この2つの指標を元に算出するデータになります。
RFM分析のM(Monetary)も含めたデータ分析でランクを設定し、グループ分けをするのもいいのですが、まずランク設定する際の基準の正解がわからない場合が多い。
直近購入日、購入回数、購入金額を元に、どの基準でロイヤル顧客にするのか、優良、安定、休眠等設定していくのかが企業によって違いがありこれといった指標もなければ判断する基準がわからない。
いろんな基準を定めて、仮説と分析結果を照らし合わせて何度も分析を繰り返すのであれば、RFM分析でもいいとは思うが、なかなかの労力が必要です。
簡単に、購入回数別の顧客動向を知りたいのであれば、RFで十分ですのでまずはRFから見てみましょう。
データ形式としてはこういうもの。
一番左(図だと4月)にある数値が直近の購入月。そこを基準に1か月ごとに算出してます。
個別に半月ごとや2か月ごとと基準があるのであれば、それでもかまわないです。
できれば1か月単位で、毎月集計する方が望ましいです。
毎月のシートを照らし合わせて移行率やリピート率(F2転換率)の対比を算出し、顧客の動向をみることができます。
コンスタントに購入してくれているロイヤル顧客。ロイヤル顧客ほどではないが比較的購入してくれている優良顧客。安定して数ヶ月に1回のペースで購入してくれている安定顧客。しばらく購入がない休眠顧客(離反顧客)。など様々なグループ分けをし分析することができます。
そのグループをもとにアプローチの仕方を変え販促していくようになります。
ロイヤル顧客と休眠顧客に対して同じようなアプローチでは、レスポンスに大きな違いが出てしまいます。
休眠顧客に対しては、安定顧客や優良顧客のグループに引き上げる必要があるため、キャンペーンなどのオファーのハードルを下げるなどする必要があります。
データ分析 応用編
通販データ分析において応用編を紹介していきます。
- デシル分析
- セグメンテーション分析
以上、紹介していきます。
デシル分析
デシル分析は、購入金額順に顧客を並べ替えて上から順番に10等分する分析方法になります。
デシルというのは、ラテン語で10等分という意味があり、上から順番に10等分することで各グループの購入比率や売上構成比などを分析することができます。
企業ごとに様々な特性があると思うが、おおよそ上位20〜30%の人数で総売上の70〜80%を占めている場合が多い。
「パレートの法則」(80:20の法則)と言われるように、ビジネスの世界ではこの法則が大体当てはまる。
販促に関しても、総売上の80%を占める上位20%の顧客に対して施策を行うと最も効果的で費用対効果の高い施策が行えます。
この分析を行うにあたっての注意点は、購入月に基準を設定すること。直近2ヶ月、3ヶ月等の期限を設けるなどして情報の絞り込みをする必要があります。
顧客データが少ない場合は、2〜3ヶ月程度で、顧客データが多い場合は、1ヶ月程度の基準を設けるのが良いでしょう。
データのサンプル数として、データ量が少なすぎる場合は信憑性に欠けます。最低でも1000件ほどは必要。
少なすぎる場合は、極端に偏りが出てしまう可能性がありデータとしては不十分。1000件あればデータの傾向としては10000件でも大差は無くなります。
この1000件を基準に、購入期間に基準を設けると良いでしょう。
セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、市場を細分化することで顧客のニーズや傾向を知る分析方法になります。
近年ニーズが多様化し、品質の良い商品だけでは売上向上には繋がらなくなってきてます。
そこで顧客のニーズを分析し自社の顧客のターゲット層の年齢・性別や興味を示しているものなどの情報を明確にして販促して行くことが重要になってきています。
自社の顧客の年齢や性別・興味関心を把握することで、適切で効果的な戦略を行えます。また顧客の中でもロイヤル顧客・優良顧客・安定顧客とそれぞれに興味関心が違ってきます。
ピンポイントでターゲット層へアプローチするためには、自社アンケートなどにより把握する必要があります。
また市場分析として役に立つのが、e-Stat(イースタット)という政府が行っている統計調査のデータや生活定点という博報堂生活総研による2年に1度の定点調査がおすすめです。
まとめ
今回紹介した方法を参考に、データ集計及びに分析を行っていただければ幸いです。
また最後に紹介した、e-Statと生活定点は市場を理解するには役に立つツールになります。
自社の特性をまだ理解していない方や、市場全体の傾向を理解したい方、顧客のニーズを把握したい方などにもおすすめのツールです。
最大限有効活用し、今後の施策に役立ててください。
最後までご覧いただきありがとうございます。